日光まちづくり講座レポート

一つ前のポストでお伝えした日光まちづくり講座「どうなる!?ニッポンの観光、どうする!?日光の観光」について、事務局を担っている各人からのレポートです。

●『どうなる!?ニッポンの観光、どうする!?日光の観光』を開催しました!
http://blog.npo-nikko.jp/?p=2104

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地元のNPO・日光門前まちづくりの総会。文教大学の中井治郎先生をお招きし、オーバーツーリズムの事例から、この町と観光はどう付き合っていくのかを考える。
「この場所はどうあるべきか?」~住民、観光客双方の合意形成が必要との先生のご指摘には、ムムム…
今後、日光があらためて問われるべきはそこなんだろうなあと、よい学びをいただいた一日でした^^

<小池秀明(事務局長)>

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観光客やインバウンドが増えるのは、経済が潤いいいことだと考えられますが、メリットばかりではなく、観光客が増えると、地域生活を圧迫する恐れがあることを学びました。
アフターコロナの日光の観光振興を考えるうえで、大変参考になるお話でした。

<渡辺幸弘(事務局)>

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「“量”ではなく“質”の問題。」

自分は日頃から旅をする旅人として話を伺って、自分の旅は“質”をしっかり担保できているのかを考えました。思い返せば“観光の仕方”って学校では教わってこなかった気がします。(修学旅行等はありますが)

自分自身もつい“見たことのない景色が見たい”“いつもと違う景色を写真に収めてみたい”と普通の人が歩かないような道を歩きたくなってしまいます。改めて“観光の仕方”を学んでみることも必要かと思いました。

小中学校で国語・算数・理科・社会に加えて“観光”って授業があってもいいし、楽しいだろうなとも思いましたし、日光などの観光地が積極的に、観光客向けに地域に負担のかけない“観光の仕方”を伝えていく工夫ができたらいいなと感じました。

<髙橋広野(事務局)>

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『どうなる!?ニッポンの観光、どうする!?日光の観光』を開催しました!

7月31日(水)

当法人がこれまで開催して参りました「日光まちづくり講座」のシリーズ。
今回は、「観光」をテーマに社会学者の中井治郎先生をお迎えしてお話を伺いました。
25名の方にご参加いただき、会場はほぼ満席状態。
行政の各セクションからのご参加もいただきました。
各メディア等でご活躍の講師の中井先生の人気と期待、観光まちづくりへの関心の高さが窺えました。

インバウンド熱からコロナ禍を経て、観光が再始動しました。
月毎のインバウンドの数が記録更新を重ねる中で、再び「観光」への期待も高まっています。
一方でオーバーツーリズムや地域住民との摩擦など、観光地の暮らしへの危機も取り沙汰されています。
このような状況から、「観光のジレンマ」を少しだけ解きほぐしつつ、“観光客も観光地もお互いに幸福な観光のあり方”を探るために先生をお招きしました。

世界一高所「エベレスト」での衝撃の「オーバーツーリズム」から、京都の観光の推移や、渋谷の路上飲み、富士山コンビニ等の昨今の各地での摩擦、問題の振り返りやそれらの解説もいただきました。
そして、現在日本が置かれている状況についても、解説されました。
日本が「観光する国」から「観光される国」になってきており、それが「曲がり角」に来ていること。現にインバウンドは増え、国内旅行(日本人観光客)は減っているそうです。

地域の文化や暮らしが消費されるような状況は好ましくなく、即ちそれは資源の奪い合いにつながるとのこと。
観光地の暮らしが「観光」に押し出されるような状況がまさにそれをさします。
例えば、普段飲みに行っていた馴染みの店が、急に観光客で一杯になり、なかなか行けなくなってしまうことなど。

地域や文化、環境へのリスペクトが無いまま受け入れていると、やがて文化がフリーライドされるような状況が起きてしまいます。
それを防ぐためには、誰にとってどうあるべき場所かということを観光の視点で再構築・再整理してみる必要がありそうです。
(この辺は、面的計画や観光の質の確保という観点では都市計画ともリンクし、まさに「観光まちづくり」の範囲になってくるかもしれません)

これらのことから、プロモーションからリスクコントロールへと、観光の“熟度”を上げていくことの大切さも学びました。
受け入れの面で整備が追いついていないように見える、とは中井先生談。

講演の前半では各事例をもとに「誰が何を何故怒っているのか?」を紐解くことが、オーバーツーリズムや各地での摩擦を解消していくポイントになるという大きな指摘もありました。

後半は、当法人の理事長・岡井と事務局長・小池もモデレーター、パネラーとして参加し、会場の方々も交えて観光談義を行いました。

・日本で「観光」と言えばプロモーションの色合いが強い。本当にそれだけで良いのか。
・かつての日光の観光が恵まれていたことで、サービスの質が低下したとも聞く。修学旅行の受け入れをどうみるか、ということも念頭に置くべきでは。
・今後も国内旅行減の状況は続くか?トレンドはどう動く?
・自分も全国旅をするが、旅を”深める”には?
・観光のゴールは来てもらうことではなく、地域のファンになってもらうことでは。
・一度「数」に合わせる(大量輸送、大量宿泊)と、なかなか減らした上での質の確保に戻るのは難しいのでは

など質問や意見が出ていました。

中井先生の、時にユーモアも交えた貴重な講演に、参加された方々は時に笑いが起きつつ熱心に聞き入っていました。
終了後も先生に熱心に質問される方や、心嬉しい感想が多く有意義な会になったことが確認されました。

ご参加いただいた方々のそれぞれの「観光」の現場で、今回の学びが活きることを願います。

引き続き、今後もこのような機会を設けて参ります。
どうぞよろしくお願いいたします。

<事務局>

【開催報告】通常総会を開催いたしました!

7月31日(水)、総会を開催いたしました。

各種報告、計画等審議いただき、全て議案が可決されたことをお伝えいたします。
会員、関係各位のご理解、ご協力に感謝申し上げます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

法人設立から18年が経過し、20周年が目前です。
また、日光門前東町地区の道路拡幅整備事業も、いよいよ「総仕上げ」の区間に向かいます。
過渡期であり、節目も見えている今年度は、活動を整理しつつ一層充実できるように励みます。
どうぞよろしくお願いいたします。

なお、当法人へのご入会、ご協力はいつでも受け付けております。日光門前地区一帯のまちづくり、エリアマネジメントにどうぞご参加ください。

<理事長、役員、事務局一同>

[講演会]観光まちづくりに関する講演会を開催します!

観光に関する講演会を開催します。

■タイトル
「どうなる!?ニッポンの観光、どうする!?日光の観光」
<日光まちづくり講座vol.10>
<(勝手に)世界文化遺産「日光の社寺」登録25周年記念企画>

流入過多等による摩擦も取り沙汰される観光と観光地の暮らし。
観光客、観光地のお互いにとって幸福な関係性とは?「幸福」な観光の未来とは?

インバウンド熱からコロナ禍を経て、観光再始動。再び「観光」への期待も高まっている。
しかし、一方でオーバーツーリズムや地域住民との摩擦など、観光地の暮らしへの危機も取り沙汰されている。
観光地の暮らし・働き方をベースに、今後の観光トレンドなども踏まえて「観光のあり方」を探る。
また、京都や東京など各地の事例をもとに「観光のジレンマ」を少しだけ解きほぐす。

フライヤーPDF版↙︎
中井先生講演会_pr_軽量版

■日時
令和6年7月31日(水)
19:00ー20:45

■場所
日光公民館多目的室
(日光市御幸町4-1)

■講師
中井 治郎 先生
社会学者/文教大学国際学部専任講師

▶︎プロフィール
社会学者。1977 年、大阪府生まれ。龍谷大学社会学部卒業、同大学院博士課程修了。
大学に身を潜め、就職氷河期やリーマンショックをやり過ごしてきた人生再設計第一世代。
京都で暮らしながら旅行に出かける合間に非常勤講師として龍谷大学などで教鞭を執り、
2023 年4 月から文教大学国際学部(東京あだちキャンパス)専任講師に就任。
専攻は観光社会学。主な研究テーマは京都観光とオーバーツーリズム問題、文化遺産の観光資源化など。
主な著書に『パンクする京都 オーバーツーリズムと戦う観光都市』『観光は滅びない 99.9%減からの復活が京都からはじまる』(星海社)など。

■お問合せ・お申込み先
nikkomonzen@gmail.com

当法人の会員様優先の講演会ですが、残席ございます。
先着順にて一般の方のお申込みも受け付けますので、上記アドレスからお申込みください。
(※定員に達して締め切りの折にはこちらでお知らせいたします)

▶︎中井先生の著書

『パンクする京都 オーバーツーリズムと戦う観光都市』(星海社)
https://amzn.asia/d/0ei6yQMG

『観光は滅びない 99.9%減からの復活が京都からはじまる』(星海社)
https://amzn.asia/d/02HyxWJT

<事務局>

第三次ワーキンググループがスタートしました

日光門前の東町地区には、「東町まちづくり推進委員会」という組織があります。
地区の各自治会長さんたちが主なメンバーになっており、大きな意思決定などはここでなされてきました。
そして、この下部組織、あるいは諮問機関のような役割として「日光東町ワーキンググループ」という組織があります。
これは、現在進行中のメインストリートの街路整備事業を契機として組織されたものです。
当初の大きな役割は「まちづくり規範」の作成でした。(→第一次ワーキンググループ)
その後、整備の進捗に合わせた課題の解消としてその規範の深化が必要となり、深化版の検討が課されました。(→第二次ワーキンググループ)
これらを経て今年度「第三次ワーキンググループ」が新たにスタートしました。

今回は、整備を核とした「まちづくり」をテーマに、修景も核に据えつつ“ワーク”していく予定です。
整備が進むにつれ、課題も多種多様になりました。また、事業開始より約20年が過ぎ(検討からは約30年)、社会情勢の変化もあり、その対応も必要となっています。

今年度の第三次ワーキングは、2023年10月からスタート。
月一回のペースでワークショップの手法なども都度用いながら会合を重ねました。
今年度は、活動の目標やテーマの設定のための議論が進み、これまでのふりかえりや既存取り組みの整理、活動テーマとそのロードマップ案づくりなどの作業も行いました。

 

今回のワーキングでは、大通り沿道の自治会だけではなく、より広い範囲の自治会からワーキングメンバーが集まりました。加えて、宇都宮大学の先生方や学生さん達もアドバイザー、オブザーバーとして毎回参加くださっています。
東町のメンバーで、来年度からまずは小さな活動をスタートさせる予定です。

期待が膨らみますが「自らのまちは自らが良くしていく」という原則に沿えるかどうかの挑戦でもあります。

NPOはワーキングのメンバーの一員ではありますが、これまでの活動や知見をワーキンググループのマネジメントに活かしていければと思っております。

活動の様子はこのブログ等でもまた報告できればと思います。

<理事長・岡井/ 事務局>

県のパブリックコメントを提出、結果が公表されました。

このブログでは、実に久しぶりの更新となります。
(最後の投稿が2021年のものになりますが、この間の活動は、主にFacebookページで発信しておりました。)

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、当法人では、栃木県が今年度実施した一般国道 119号 上・中鉢石町工区の整備事業に関するパブリックコメントについて、意見書を作成し提出いたしました。
その結果が公表されましたのでお知らせいたします。
(募集時の要項等は現在は削除されております)

快適で安全な道づくり事業(一般国道 119号 上・中鉢石町工区)に対するパブリック・コメント(県民意見の募集)の実施結果について

○実施結果について
https://www.pref.tochigi.lg.jp/h04/kouhou/kaminakahatsuishi_r51219.html
<栃木県のホームページ>

○自己評価書、事業概要図(PDF)
https://www.pref.tochigi.lg.jp/h04/kouhou/kaminakahatsuishi_r51219.html

○提出意見とそれに対する栃木県の考え方(PDF)
https://www.pref.tochigi.lg.jp/h04/kouhou/documents/20231219kaitou.pdf

 

■当法人の意見書
上記のうち、当法人で提出した意見書は次のとおりです。

日光東町パブコメ_上鉢石・中鉢石_門前町づくり(PDF)

 

当法人では、引き続き当該事業やまちづくり全般について、県や日光市等の行政や、その他関係機関・団体と連携して取り組んで参ります。
どうぞよろしくお願いいたします。

●ご意見等はこちらのお問合せフォームよりお願いいたします。↙︎
https://ssl.form-mailer.jp/fms/2c1292a3451893

<理事長・岡井 / 事務局>

コミュニティFM「ミヤラジ」の番組に出演しました!

11月12日(金)

理事長・岡井が、宇都宮のコミュニティFMの番組「うつのみや古今東西」に出演し、日光の歴史についてお話しました。

まちあるきガイドツアー「日光ぶらり」の冒頭でお話している、日光のターニングポイントとなった歴史を3つの数字に整理してお話しました。
その他、NHKブラタモリの日光編の取材時の様子などについても、少しだけお話しました。
また、日光を“まるごと楽しむ”企画として実施している、「あいに行く、NIKKO」の取り組みについてもお話しました。
日光のみならず、栃木県内や宇都宮の歴史や“まち”、自然については、はまだまだ「楽しみ方」「親しみ方」がたくさんあるのではないでしょうか。
こうしたメディアを通して、お伝えする機会を引き続き積極的に持てるようにと考えております。

まちあるきガイドツアー「日光ぶらり」は、現在じゃらんのページからお申し込みいただけます。
お申し込みはコチラから↙︎
https://www.jalan.net/kankou/spt_guide000000211892/

「あいに行く、NIKKO」についてはコチラから↙︎
https://www.city.nikko.lg.jp/kouryuu/aini-iku.html
https://nikkoguideportal-nikkoguide.com

<事務局>

世界遺産サミットの分科会にパネラーとして出席しました!

10月28日(木)

毎年恒例の「世界遺産サミット」が開催され、理事長・岡井が分科会のパネラーとして出席いたしました。
今回は、富士宮市で開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況を鑑みてリモートによる分科会のみの開催となりました。
第1分科会は、「世界遺産地域における都市計画と景観形成」をテーマとして、次の各地域によるパネル発表とディスカッションが行われました。

●コーディネーター: 島川 崇(神奈川大学教授)
○長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産: 植野 健治(平戸市文化課)
○明治日本の産業革命遺産: 柏本 秋生(萩市文化財保護課統括専門職)
○近畿の事例紹介: 井戸 智樹(一社・地域連携研究所代表理事)
○富士山: 芦澤 英治(富士宮市副市長)
○日光の社寺: 岡井 健(NPO法人 日光門前まちづくり理事長)

岡井からは、日光門前・東町地区の道路(歩道)拡幅・整備事業を中心としたまちづくりについてお話させていただきました。
「祭(いのり)のまち」をテーマとして、官民協働のプロジェクトとして、準備・検討から約30年近くかけて進んでいるものです。
中でも、「まちづくり規範」は、住民主体のワーキンググループによって、生み出された言葉やイメージ・ビジョンの結実したものであり、現在でも柱として活動していることをお話しました。
以下は、使用資料の一部です。

ディスカッションでは、
・行政主導の計画や事業に、どのようにして住民の参加を望むべきか?
・住民の「納得感」が大切、中でも拠り所になる言葉やイメージは大切
・話し合いの手法は現在では様々ある
などのやりとりがありました。

以下、理事長・岡井の出席しての感想です
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短い時間の中でしたが、各地域の創意工夫の様子が十分に窺い知れました。
まちなみ・景観づくりは1日にして成らず。暮らしや文化の表出したものです。
今後も、しっかりコツコツと活動を続けていきたいという思いをさらに強くしました。

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開催の様子はコチラから視聴できます。(YouTube)
第1分科会↙︎
https://youtu.be/y38p1DAf2hs

<事務局>

街路灯の清掃を行いました!

10/5(火)
街路灯の清掃作業を行いました。
今回は、駅前の松原町から御幸町の区間です。
夏が過ぎ、蜘蛛の巣や汚れが目立つ状況になっていました。

本格的な観光シーズン到来を前に、綺麗に掃いて、拭いて。

今後も引き続き適宜清掃作業を行う予定です。

<事務局>

地域創成工学プロジェクト演習オンライン報告会を開催しました!

先日(9/18)に「まちなみ修景のための“設い”のデザインを考える〜地域創成工学プロジェクト演習オンライン報告会」を開催しました。
宇都宮大学の院の授業で、前期後半に取り組んだものです。(授業の様子は、前回までの記事でお伝えしました)

▼門前町のための小さな設えのデザイン(創成工学プロジェクト演習/宇都宮大学)その1
http://blog.npo-nikko.jp/?p=2007

▼門前町のための小さな設えのデザイン(創成工学プロジェクト演習/宇都宮大学)その2
http://blog.npo-nikko.jp/?p=2015

日光門前大通りの道路拡幅整備事業の終了区間を対象に、まちなみの修景や沿道の更なる魅力アップを目指した小さな設えの設計提案を行ったものです。
今後、これらの提案の一部実施や実験事業等にも向けて更に整理や検討・準備を進めたいと思います。
本当は会場を設定して対面で開催を予定していたのですが、緊急事態宣言下のため敢え無くオンラインになりました。
しかし、様々な属性の方々にご参加いただけました!

会の最後に撮った集合写真です。(大嶽先生に撮影いただきました。)
先生方、学生さんたち、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
日程をあらためて、対面での開催も目指します。

<事務局>