12月1日(金)・2(土)の2日間にわたり、「日光門前都市デザインフォーラム」を開催いたしました。
[第一夜]ーーー
第一夜(1日)は、川越から町並み委員会相談役(前委員長)の可児一男氏を講師にお迎えして、「市民主体の街並みづくり」をテーマに基調講演をいただきました。
川越の一番街の現在の蔵づくりの街並みを基軸にしたまちづくりは、30年以上も続き、中でも「川越町並み委員会」や「NPO法人川越蔵の会」のような、民発の組織や町並みを維持・更新していくための仕組みが醸成されている事が良くわかりました。
商店会や自治会、NPOやコンサルタント、学識経験者など多様な主体が委員として関わる町並み委員会は、現在でも月一回の定例会が行われ、新築や建築の変更がある場合の審査・アドバイスを行っているとのこと。その場は、軽食をとりながら行われている事など、長年工夫を重ねながら続けてこられた様子が垣間見えました。
後半のパネルディスカッションの前段として、現在の東町地区の整備事業の基礎となる活動を約20年前当時に担われていた金子氏をお迎えして、事業にいたるまでの経緯や思いなどを伺いました。
現在までの東町地区のまちづくりの流れについて、振り返る機会となりました。
パネルディスカッションでは、ゲストに宇都宮大学地域デザイン科学部の安森亮雄准教授をお招きし、地元日光出身の建築家である阿久津新平氏(当法人理事)も加わる形で、各人の持ち寄った情報を基に議論を深めました。
安森氏からは、社寺までの連続性(シークエンス)を「街道」や「ストーリー」として意識することを、氏が携わった徳次郎宿や宇都宮の小幡地区のプロジェクトの事例から伺いました。街並み・景観を「形」のみで捉えず、暮らしや生業の側面から捉えてみる事の重要性が指摘され、そこには、建築と職能、生業、文化をつなぎ活かす事の重要さが共通していました。
ポイントとして、「奥行きを活かすこと」「東照宮(社寺)までの地形と連続性を意識すること」「蔵を活かす」「オープンガーデン等の私有地を一部開放する取り組み」などが挙げられました。
阿久津氏からは、「まち」は住んでいる人々の「思い入れ」が表出したものと捉えることができ、「情緒」が起因するものである事も指摘されました。
「連続性」と「調和」を旨とする日光東町のまちづくりですが、フォーラムの第一夜では、川越の事例を中心に多くのヒントを得る事ができました。
[第二夜]ーーー
第二夜のアフタートークは、JR日光駅の2階ホワイトルームにて開催しました。
第一夜の内容のふりかえりや、この日の午後に行った「ミニ調査」で得た事の発表などを行いました。
調査で得た課題や気づきでは、現状で道路拡幅整備事業を待つ(未整備)鉢石地区では、建物の建築年代によるタイプ分けなど、一律で「和風」で捉えず、踏み込んだ調査・研究が必要である事が提案され、共有・確認できました。
道路拡幅整備事業が終了した区間や、整備事業が現在行われている区間については、事業(建替え)により発生空き地や駐車スペースなどをネガティブに捉え過ぎず、新たに出現した蔵や庭などを見せる/見えるような仕掛けと一体的な活用もできるように考えてはどうか、という提案もありました。
(調査の様子については、別の記事でお伝えします。)
今後のまちづくりに必要な仕組みづくりや、具体的なアクション(活動)について、様々な視点で意見交換をいたしました。
2日間、地元内外から多くの方の参加をいただき、関心の高さが伺えました。
このフォーラムで得たことを、できることからひとつひとつ、次年度以降の活動に繋げて参りたいと思います。
(事務局)