補償って?


補償についてQ&A方式で解説された書籍があります。
その冒頭に、こう書いてあります。
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 公共事業のために用地買収が行われる場合、補償金は多ければ多いほどよいと思うのは、買収される権利者の本音でしょう。
 反対に、世間一般の人々の中には、公共事業が行われると権利者の住まいがたちまち立派になり、補償金ぶとりしているのではないかと思う人もいるのではないでしょうか。この両方の見方は、実は損失補償制度の基本にかかわっているのです。
 なぜならば、公共事業のために損失をこうむる権利者に対しては、手厚く補償がされなければならないのは当然ですが、公共事業は国民の生活の利便のために、国民の税金で行われる事業ですから、理由のない補償金を支払うことはそれだけ余分の税負担を強要する事になるからです。
 憲法二九条三項が「正当な補償」と定めているのは、補償金の支払を受ける者と究極的に補償金を負担することになる一般国民との間の利害調整の制度として損失補償制度を予定しているものと考えられます。
 損失補償制度はひとつの法制度です。しかし、その内容は単に法令の解釈によって確定できるものではなく、きわめて専門技術的な財産評価を要するものです。
 補償金の算定は大変難しいのです。それだけに、一般の人々にとって、補償金がどのような基準にもとづいて、どのように評価算定されるかは、そう簡単に理解できないのはないでしょうか。
「くらしの相談室 用地買収と補償」 小高 剛 著 (有斐閣選書)
初版はしがきより一部引用
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この本、現在はちょっと手に入りにくいようですが、こちらから。
このはしがきを読むだけでも、「公共事業が入ると、被補償者は現在の価値以上に立派な家を建てられる」というのは、誤解であることがわかります。
<岡>

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